いざ前進！
半年前の夏の日、新聞の切抜きを片手にメールを送信したときから、私の中で何かが動き始めた…。腐れ縁の学生時代の同級生と結婚して10年、フリーランスの仕事をしている夫は、「人生一生修行だ」と師匠にも言われていたし、借金しながらの生活は当然とさえ思っていた。夫婦で共稼ぎしていれば、いつかは晴れた日が来ると信じて…。 しかしそれは幻想でしかなかった。一人目の子供を妊娠し、夫は少し安定できる仕事をと会社に就職したものの、出産直前に会社が解散、結局、フリーランスに戻ってしまった。仕事の依頼はいつ、どれだけ来るか分からない、納品後半年待たないと入金がない。育児休業中の私は、早く復帰するにも保育園になかなか入れず、取り崩すお金もなく、生活費をクレジットカードでキャッシングし始めたのがきっかけとなり、日々の暮らしをカードに頼る生活が始まった。間もなく復帰し、私は普段どおりの収入になるも、賃貸住宅の更新料や、海外取材の仮払いなど、まとまったお金を用意出来ず、次々にカードでキャッシングするようになっていった。5年後の二人目の子供出産時も、やはり育児休業中のやりくりに困り、いつの間にか300万円を越す借り入れになっていた。 職場復帰しても、月末になると支払いの心配をして、あちこちのATMを回っては少しずつ借り入れ、返済にあて、使えるクレジットカードで食料や生活必需品を買い、と、落ち着かず、イライラ、ドキドキ、仕事の効率は落ちるばかり。さらに追い討ちをかけるように夫の取引先がいくつか倒産してしまい、数ヶ月仕事が来ない。ボーナスを全額返済にあててしまい、いったい何の為に働いているのか分からなくなってしまい、これではいけない、と思ったとき、新聞に女性自立の会の相談会の記事が目に留まった。何度も繰り返し読んだ。今までもインターネットで調べたり、本屋で立ち読みしたり、と法律相談を考えたこともあったが、どうしても踏み出す勇気が出なかった。そんなさなか、実家の母に電話をすると「親戚がパチンコの借金が返せず相談に来たが、破産するなんてとんでもない」という話をされ、まるで自分の心の中を見られているのかと緊張し、そして、ああ、この人には相談できないと思ってしまった。 もともと長女のせいか、誰かに相談することがとても苦手で、誰かに心配をかける位なら、自分ひとりで苦労すれば良い、と思ってしまう性格だったので、その記事を見てもまだ悩んでいた。記事には電話とメールで相談ができると書いてあったが、電話でどう切り出してよいものやら悩み、文章にしたほうが伝わると思い、メールを送る事にした。すぐ返事が届き、その前向きな励ましに勇気を得て、面談に行くことにした。最初の数回こそ緊張して今までの経緯や金額などを話していたが、そのうち、良いアドバイスをくれるお姉さんに会いに行くようで、面談が楽しみになった。 共稼ぎといいながら、この10年、全くお互いの仕事や給料について話すことをしなかった、いや恐ろしくて知りたくなかったのかも知れない。「債務問題は夫婦で乗り越えないといけない」「母の仕事は子供の笑顔を守ること」色々な声をかけて頂いて、踏ん切りがついた。ここにきて初めて家計簿をつけることを始めた。再生プログラムにも参加してみた。今までの人生でこういった実践的なお金の話を勉強することが全くなかった私。会社の経理をしているのに、自分の家庭の経理は全く手付かずだったことが恥ずかしかったが、知らなかったことは仕方がない、新しく覚えていきましょう、という有田さんのスタンスには感謝している。拒まない、否定しない、先を見る。カウンセリングの基本かもしれないが、ちまたの法律専門家や役所の債務相談とは一味もふた味も違う人情のある女性自立の会の相談によって、私は救われ、立ち直るきっかけを得ることができた。 私の裁判所の手続きが始まり、夫の返済ももうすぐ始まる。やっと赤字の出ない家計になったばかりだが、貯金する生活が出来るようになるのもそう遠くない、と確信できるなんて、半年前には考えられなかった。40代にはこのことを笑って話せるようになりたい。 素敵な出会いをありがとう！ |
声 22（30代女性 東京都在住）