自分の道を切り開いていくために
「助けてください」 有田さんにメールを送って、私の経済的自立への道は始まりました。私の借金生活は、学生時代に海外旅行をするため、クレジットカードを作ったのが始まりでした。母からは、「お金が無いことを自覚しなさい。」と厳しく言われましたが、どこ吹く風でした。社会人になり、一人暮らしをはじめると、その消費は更に増していきました。社会人として必要な衣服や化粧品はもちろんのこと、食費にもお金をかけていました。 クレジットカードで買い物とキャッシング、翌月の支払いで返済。ボーナスで補填。こんな生活が続きました。すぐに返済していたため借金の自覚は全くありませんでした。そのため限度額が増えるリボ払いにもすぐに切り替え、利子のことには気を留めませんでした。いつかは返せるだろう。甘く考えるだけだったのです。 その後、結婚。夫が父親の会社で役員をやっていたこともあり、自分の給料がそのまま使えるような、ある程度余裕ある暮らしでした。そのため、これで借金を毎月減らしていける。さらにいい暮らしができるのではないか、などと気楽に考えていました。 ところが家業が怪しくなってくると、夫からの収入が無い月が出てきます。そのうち同業者との合併話が持ち上がりました。そのまま合併できれば何の問題も無かったのですが、結局、会社は乗っ取られてしまいました。夫は職を失い、生活費は私の収入から出すことになります。はじめのうちは、蓄えもあり、生活できていましたが、徐々に私のほうに負担が増えていきました。そのため消費者金融からも借り入れが増えていきます。いずれ事業を起こしたい夫は、「家を空けると仕事の依頼にすぐ応えることができない」などと言っては、働かない状態が続きました。 そのため家賃などの生活費を借り入れては次の返済をする生活に突入しました。生活費はもとより夫への小遣いまで・・。甘く考えていた借金や利子が重くのしかかってきます。気楽に借金していたことが信じられないほど、日々の生活にアップアップです。それを補う収入のためにキャリアアップして転職。さらによい条件があれば転職。そしてハードワーク。そんなことをしているうちに、体に不調が出てしまいました。顔面神経麻痺、そして抑うつ状態。結局何度か休職をすることになってしまいました。 当然給料は下がります。そして生活費に加えて医療費が重くのしかかりました。夫は既に働いてはいましたが、それだけではまかなえません。結局、借金返済が難しくなり、冒頭のメールにつながっていきました。 インターネットで「自己破産」「多重債務」など検索した中で、「女性自立の会」のページに何かしらの安心感を覚えました。そこで連絡を取ったのです。女性自立の会を訪ねたのが2006年8月末。親身になって話を聞いてくれる有田さんの前で、涙を止めることができなかったのを今でも覚えています。 その後は、着実に個人再生法申請に向けて進み始めました。カード会社や金融業者への借金の返済が止まっただけでも、心に大きな余裕が生まれたのを実感したものです。結局それまで勤めていた会社から辞めるよう言い渡されたため、申請手続きも少しだけ延長しましたが、それも無事終了。ようやく再生計画の認可が下り、返済が始まった今、前向きな気持ちで毎日を生活できる幸せを感じています。 世間では、借金が原因の一つと思われる凄惨な事件が多く起きています。それを目にするたび、思いつめて余裕がなくなってしまった人たちが、なぜもっと早く、こういった会に相談することができなかったのだろうと、悲しくなるのです。 多くの多重債務者が自分で自分の道を切り開いていけるようになって欲しいと切に思っています。 |
声 28（40代女性 東京都在住）