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「気づかされた二つのゲンジツ」
 声 35（40代女性 福岡県在住）
「このままではいけない。大変なことになってしまう」と思いながらも、「今年も年を越してしまうのか･･･」と何も出来ないままでいた私が、はじめて勇気を出し相談へ行ったのは、昨年12月、地元の弁護士協会でした。借金の総額を一覧表にするように言われ、早速作成し持参しました。頭の中ではおよその額を把握していたつもりでしたが、私はここで初めて現実と向き合うことになったのです。総額一千万以上の債務でした。
私が社会人になったのは、今から20年ほど前。早く社会に出て親孝行できればと思っていた私は、高校を卒業し安定した職に就くことが出来ました。
高校を卒業したばかりの私には、カードについて何も知識がなく、カードを勧められると、断わることなく次々と申込みをしていました。気がつくと十数枚のカードを持つにいたっていたのです。
日々生活していくなかで、カードの便利さがわかり始めた頃、急な出費が必要になり、返済計画を立てないまま「私ならきっと払える」と、ついカードのキャッシングに頼るようになっていました。安定した職場にいる私は、月々の給与だけでなく、賞与をあてこんで、「大丈夫。何とか払える」と、ますますカードに依存していったのです。私には現実が見えていなかったのです。見えていたのは、幻だったのです。
再び、弁護士の事務所を訪ねました。誰にも知られず自分で何とか解決させたいと任意整理を希望していた私に対して、額の大きさから自己破産・個人再生の方法しかないことを告げられ、「大変な事態になってしまった」と、更に厳しい現実に直面することになったのです。この先不安になり、ひとりではどう解決したらよいのか判断もつかない私は、勇気をだし、信頼できる知人に相談をしたところ、「女性自立の会」があることを知らされました。年の瀬も迫る中、早速、有田さんに連絡を取り、今までの経緯を全てお話しました。有田さんから福岡の弁護士会や、関わって下さっている弁護士先生にもう一度気持ちを伝えることなどアドバイスを頂きましたが、疲れ果てていた私の様子に、「直にでもお会いし、お話したい」と、言って下さいました。年明け早々、次の請求日が来る前に、と何度も来福してくださり、どの方法をとることが私にとって一番良いのかと親身になって話を聞いて下さいました。法律家にも連絡をとっていただいき、何とか請求日が来る前に債務整理の手続きを踏むことができたのです。さらに私は幸いにも、職場に知られることなく、任意整理をすることができたのです。
有田さんに「もうカードは使わないように」と言われ、十数枚あったカード1枚1枚に心の中で「ごめんなさい。有難う」と言ってハサミを入れました。私は、とにかくカードを早く処分して、さっぱりとした気持ちになりたかった自分と、急な出費を支えてくれたカードにハサミを入れなければならない状態を作ってしまった自分に、「馬鹿だった･･･」と申し訳ない気持ちになり、自分の招いた現実を受け入れることができなかった事を恥じるしかありませんでした。
あの時、人に勧められるがままカードを作ったのも、自分が現実を把握できていなかったからであり、誰のせいでもありません。ここまで債務を増やしてしまったのも、現実を受け入れることができなかった自分の「甘さ」なのです。
今、同じように苦しんでいる方がいるならば伝えたいことがあります。もし打ち明けることに戸惑っているならば、自分だけで判断せず、勇気を持って早く相談に行ってください。でも勘違いしてはいけないことがあります。弁護士や司法書士、そして有田さんに全てを打ち明け、幸いにも大幅に債務を減額することが出来たとしても、「現実」という目に見えない債務は、簡単には消えないのです。最終的には、自分自身が勇気を持って現実と向き合い、解決していかなければならないのです。
胸の奥で長く悩み苦しんでいた毎日。勇気をもって相談し、身をもって体験したことでお金の大切さに気づくことができました。
私は有田さんをはじめ、多くの方々から二つのゲンジツに気づかされました。それは向き合うべき「現」実と、自らが勝手に描いていた「幻」実です。
有田さんや法律家の先生、事務所の方々、そして信頼する知人と皆さんの協力と励ましがあったからこそ、私はここまでたどり着くことができました。
私の再出発はこれからです。協力してくださった方々を裏切らないためにも、二度と同じような失敗を繰り返さないように頑張っていきたいと思っています。今回、貴重な体験をさせていただいたこと、気づかされたこと全てに感謝し、この文書を私の反省文とさせていただきます。有り難うございました。。
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