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「完済からが本当のスタート！」
 声 44（東京都在住30代女性）
私の借金のきっかけは、会社を辞めて正社員から派遣社員になった事です。でも、あの時正社員のまま働いていても遅かれ早かれ、同じ道を辿っていたと思います。もっと色々な職場を経験したい、スキルアップしたい。そんな安易な気持ちで派遣社員になりました。しかし現実は甘くなかった。時給が良い分、保障は何もない。仕事が常にあるわけでもない。次の派遣先がなかなか決まらず生活費に困り、消費者金融へ足を踏み入れたのが最初でした。
目先のお給料に満足しクレジットカードも使いまくる有様。後の不況やリーマンショックの想像もつかず、貯金の事など毛頭考えたこともありませんでした。だいぶ自惚れていました。一つ一つは大した贅沢ではありませんが、積み重ねれば大きな浪費。私にとって全くもって身の丈には合わない浪費と贅沢づくしでした。
その結果、クレジットや消費者金融の返済が徐々に滞り、公共料金も後回しになりました。督促の電話に日々怯え、精神的にも限界になりそうな時ネットで女性自立の会を見つけました。
本当に相談して良いか数日悩みました。しかしもう自分自身ではどうすることもできない、誰かに一緒に考えて欲しい。今のままでは現状を何も動かせない、何も変わらないと思い電話をしました。それからは有田さんはじめ自立の会の皆さんからアドバイスを受けつつ、法律事務所で個人再生手続きを進め、2年前にどうにか完済できました。
借金に苦しんでいた時、仕事の不調もあり常にネガティブでした。返済を開始し始めたというのに、もうこんな辛い思いをしながら生きていたくない。完済したら人生を終わらせてしまいたい。再生手続き開始が承認されてもそんなことを考えていました。
完済日を逆算しその半年ほど前から着々と身辺整理を始めました。現状必要な洋服と食器・日用品等を除いて全て処分し家具家電を業者に引き取ってもらいました。殺風景な部屋を見つめた時、つい「もう少しだけ、ここにいたい」と思ってしまいました。
最期の数カ月だけ素敵と思える部屋を作って少し楽しく生きてみたい。明確な目標ができたら毎月のやりくりが嘘のように楽しくなってきました。
ひとつづつ、ちょっとづつ問題をクリアし、日々を丁寧に過ごすよう心がけてきたら、仕事も少しづつ良い方向に向かってきました。「もうちょっと生きててもいいのかな・・」と意識に変化が見られた頃、法律事務所から「今月で完済したよ。おめでとう！」と連絡がありました。長らく括り付けられていた重い足枷が外れ、力が抜けた気がしました。
返済の3年間は贅沢という麻薬を抜くための厳しい期間でした。その出費は浪費なのか、それとも自分の未来をハッピーにできる投資なのか。どこまでコスト削減と価格についてこだわるのか。少しづつ自分にとっての物の価値観や幅を定めて行きました。私にとっては完済してからが本当のスタートだったように思います。きっかけはネガティブでしたが、私にとって本当に大切なものは以前より明確化してきています。
昨年末の日記にこんなことが書いてありました。
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12/27 来年の事なんて考えられなかったけど
去年の年末より今年の年末のほうが、明日の事を来年の事を考えることができるようになってきた。そして、考えるのが楽しい。
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今年も、この日記と同じ時期になりました。去年よりも少しだけ心が穏やかです。明日のこと、来年の事を手帳をみながら考えるのが楽しいのです。
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