2008年2月 Vol.41

家族に内緒の債務を抱えていませんか?

NPO法人女性自立の会 理事長 有田宏美

 お金の悩みを抱えて当会を訪れる相談者は皆、精神的に追い込まれた状況にあります。

 その中でも特に「家族にも言えない借金」を抱えていたり、債務返済のために家族名義のカードを無断で使用している場合、問題は更に深刻です。

 先日相談に見えられた方は、ご自身名義の借り入れだけでなく、その債務返済のためにご主人の名義でも多額の借り入れをしていました。もちろんご主人は自分名義のカードを無断で使われていることなど知りません。相談者は「どうしても夫にだけは言えません」とすがるように訴えます。

 聞けば「以前にも借金のことが夫の知るところとなり、夫の貯えの中より債務を完済してもらっているので、再び債務ができてしまったことなどどうしても言えない」というのです。実は、このような相談は特別なケースではありません。

 身内に支援してもらい債務を精算した場合、債務の全額を打ち明けると驚かれてしまうという思い込みから、債務の一部だけを告白し、残った債務は自分で返していこうと考えたり、こんなに迷惑をかけてしまったのだから、もう二度と迷惑をかけられないという思いが、再びお金に困ったとき、このくらいなら返せるという甘い判断につながるようです。

 しかし、この「思い込み」や「甘い判断」が、再び債務を抱えてしまい同じ事を繰り返す結果となってしまうようです。

 前述の相談者の場合、相談者の債務だけを法的に整理したところで、既に夫名義の債務も膨らんでいるわけですから、一部の応急処置だけでは根本的な生活の立て直しにはなりません。

 まず、現実から逃げないで「収入と支出を書き出してみましょう」。入ってくるお金(収入)以上に出ていくお金(支出)が多ければ、それは現状の資力では完済は困難な状況です。債務が膨らむと、なんとかしなければという思いから「債務一本化」を考える人が多いのですが、自己判断ではなく、まずは専門家に相談することが肝心です。

 冷静な第三者の目で現状をみてもらい、どうすれば生活を立て直せるかを考えるのです。あなたの勇気があなたの人生を救うことになるのです。

目次
◇相談者からの「声」
 自分の道を切り開いていくために
東京都在住 40代女性
◇第10回再生プログラム報告
 「一年前のわたし!これからのわたし!」
NPO法人女性自立の会 理事長 有田宏美
  参加者からの声
◇2008年 第1回再生プログラム報告
 「生活の幅を知る−目標設定〜実行プラン作成」
NPO法人女性自立の会 理事長 有田宏美
  参加者からの声
◇活動報告1 多重債務問題を考えるシンポジウム 『消費者力で再生を目指す−生きる力を取り戻そう−』
NPO法人女性自立の会 理事 河合直美
◇活動報告2 千葉県(健康福祉部)「平成19年度自殺対策相談支援担当者研修会」
NPO法人女性自立の会 理事長 有田宏美
◇活動報告3 「平成19年度 全国消費者フォーラム」参加報告
NPO法人女性自立の会 理事 河合直美
◇本の紹介 読んでみたら書きたくなりました
 「さよならサンドイッチ」 前川梓著 メディアファクトリー 1000円+税
NPO法人女性自立の会 理事 新井純子
◇事務局だより
 今後の予定、お知らせ、寄付・会報購読の振込先 編集後記

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