特定非営利活動法人（NPO法人）女性自立の会　−女性のための多重債務（借金）/カウンセリング/相談窓口−

2008年11月　Vol.45

「ゆっくりでも確実な一歩を」

NPO法人女性自立の会　理事長　有田宏美

過去の相談者が、その後元気で暮らしているだろうかと気になります。ですから電話の向こうから、久しぶりに聞き慣れた声が聞こえると、嬉しさと懐かしさがこみあげてきます。ですが昔から、「便りの無いのは元気な証拠」と言われるように、その電話の大半は「元気な近況報告」というよりは、またあらたな「悩み」に苦悩していることの方が多いものです。

　先日、２年程前の相談者から連絡があり「新しい環境の中で嫌われるのが怖くて、人前では明るく振る舞ってきて、やっと自分の居場所を見つけたけれど、それは本当の自分が作ったものではないから、本当の自分を知ったら、みんなが去ってしまうのではないかと毎日不安でたまらない」との相談を受けました。
　人との関わりの中で、誰でも一度は、人から見える「自分」について考えたことがあると思いますが、彼女はいつも、今の幸せは偽りの自分の上に成立しているものだから、その幸せは長くは続かないのではないかと思ってしまうというのです。
　彼女の生い立ちは複雑で、小さい頃から「幸せ」を体感した経験が乏しく、幸せな状態が継続すると、自分が傷つく前に自分からその幸せを手放してしまうか、壊してしまい不安定な状態を繰り返してきました。それでも先日の電話では、彼女の発する言葉の端々に、二年前とは違う「確かさ」を感じることができました。

　先月の再生プログラムでは、沖縄県でコーチングのコーチをされている紀々さんに講義いただきましたが、その中で「否定の（D）デビルズ」という話をされました。人は何か始めようとすると「できない」「だめだ」「どうせ」と始める前から諦めてしまいます。自分に自信が無いときほどマイナス思考になりがちで、その傾向も強くなります。
「できない理由」を探して納めてしまった方が自分の心が楽なのです。でも、それではなんの解決、前進もありません。
　心にマイナスの気持ちが吹き出したら、ゆっくりで良いから一つずつ打ち消していきましょう。そして、不安なときは勇気を出して電話を下さい。
　女性自立の会はいつもあなたと繋がっているのです。　　　　　　　　

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