2009年1月 Vol.46

「原点に立ち返る」

NPO法人女性自立の会 理事長 有田宏美

新年明けましておめでとうございます。
 昨年も当会の活動にご理解いただき沢山のご支援を頂きましたことを心より感謝申し上げます。

 私が多重債務に陥った女性の相談に携わるようになって、早いもので今年は13年目になります。
 今から15年前の199410月、家業の危機を知らされた私は、状況を理解できないまま、ただ毎日のように金銭的支援を求めてくる両親のために送金を続けるようになりました。それも限界となった頃、「どこに相談すれば良いのか」「誰が正しいアドバイスをくれるのか」もわからず、書店で見つけた一冊の本に書かれてあった(信頼できそうな)法律事務所に「父を助けてください」とすがる思いで電話しました。ところが返ってきた返事は「今、相談が混み合っているので2ヶ月先になります」。2ヶ月も待てない・・目の前が真っ暗になる思いで電話を切ったあの日のことは、今思いだしても胸が苦しくなります。が、この苦しさこそが、私の、自立の会の「原点」なのです。


 その後、実家の債務の相談に快く応じてくださった司法書士の先生から「一緒に働きませんか?」と声を掛けて頂き、毎日のように、どこに相談して良いかわからずにいた女性の心に触れるようになった私は、いつしか「女性が何でも話せる場所」そして「すぐに話を聞いてあげられる場所」を作りたいと思うようになり、1996年に女性専用の相談窓口「女性の生活自立の会」を始めました。

 あれから13年、今日まで会を継続することができたのは、沢山の出会いの中で、一つ一つ信頼を積み重ね、その結果、皆さんからのご支援をいただいたからこそです。しかし、昨年は忙しさから、「すぐに声を聞いてあげたい」という原点を見失っていたのではと反省する年でもありました。

 昨年の暮れ、悪質なヤミ金融に追い立てられている相談者の苦悩を目の当たりにして、相談者と必死に動きました。何とか年を越せるメドがたち、「来年は絶対良い年にしよう」と言って握手を交わしたその手は温かく、気がつくと相談者の表情にも笑顔が戻っていました。彼女の笑顔に触れた時、その笑顔のために始めた活動であったことを思いだし、「私にできること」を精一杯頑張ろうと心に誓いました。今年も相談者に寄り添い、相談者と共に歩み、成長する会作りに努めてまいります。どうぞご支援を宜しくお願いいたします。

目次
◇相談者からの「声」
 「ありがたい出会いから新たな一歩へ」
神奈川県在住 50代女性
◇第10回再生プログラム報告
 「1年を振り返って 〜自分への通知表〜」
NPO法人女性自立の会 スタッフ りかちゃん
  参加者からの声「今年最後の再生プログラムに参加して」
オフィス紀々 紀々
◇第5回(最終回)お金のワークショップ「マネーリテラシー 〜生きる力を身につけよう〜」
NPO法人女性自立の会 理事 河合直美
  参加者からの声
◇活動報告1 九州大学での多重債務問題を考えるシンポジウム「知ろう、語ろう、伝えよう」
NPO法人女性自立の会 スタッフ りか
◇活動報告2 NPO法人ロフィア主催 「韓国消費者信用事情視察団に参加して」
NPO法人女性自立の会 理事長 有田宏美 
◇本の紹介 読んでみたら書きたくなりました
 「世界一あたたかい人生相談」−ホームレス人生相談&悩みに効く料理− ビッグイシュー日本販売者+枝元なほみ 
NPO法人女性自立の会 理事 新井純子
◇事務局だより
 今後の予定、お知らせ、寄付・会報購読の振込先 編集後記

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